認知症当事者が語る 認知症講座   

一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ理事  佐藤雅彦

認知症のイメージあなたはどちらのイメージですか。

昔の暗いイメージ

・いつもボケーとして、なにを考えているかわからない人

・認知症の人は、何も判断できない、無能な人。

・徘徊したり、大声を出したり、暴力を振るう、問題を起こす人。

・物取られ妄想をする人

・いつも探し物をする人。

・だらしない人。

・責任能力がない、保護しなければいけない人。

・何をしでかすかわからないので、自由を制限する対象の人。

・何もわからない、考えることができない人。

・記憶できない、物覚えの悪い人。

・人格が破壊した、無能な人。

・いつも怒っている、気難しいひと。

・こだわりの強い、付き合いづらい人。

・普通に生活できない人

今の明るいイメージ

・認知症になっても、積極的に生きることができる人。

・障害があっても、人権があり、生命の危険がない失敗はしても良い、学習能力のある人。

・困難な問題抱えている、困っている人。

・色々な可能性がある人。工夫すれば、仕事ができる人。

・認知症バリアーを抱え困っている人。

・学習能力もあり、責任能力もある人。

・自分の困っていることが認識でき、そのことに対して、工夫できる人。

・物覚えは悪いが、メモもでき、一生懸命生きている人。

・楽しむことを見つけて、楽しく暮らせる人。趣味を楽しめる人。

・適切な援助があれば、一人で暮らせる人。

・考えることができる、自分の意見・好みが言える人。

・笑顔でいつも明るい人。ひとなつこいひと。

・人格があり、傷つきやすい、繊細な人。

・感受性の敏感な、繊細の人。

・普通に生活もできるし、ボランティアも仕事もできる人。

 

認知症の心構え

1    認知症になっても、不便であるが不幸でない

2    認知症と診断されても、すぐに何もできなくなるわけでなく、多くのことが普通にできる。

3    認知症になっても、忘れやすくなるが、普通の生活が送れる。

4    失った機能を嘆くのではなく、残された機能に感謝して生きる。

5    元気な認知症当事者から元気をもらう。

6    いつも、前向きに考える。できないこと多いが、できることはまだたくさんある。

7    自分の使命、役割、趣味を持って、明るく生きる。

8    出来ることリストを書き出し、自分に自信をもって生きる。

9    人間には分からないが、神様のご計画がある。どんな時にも希望を捨てない。

  神様は無駄なことはされないので自信を持って生きる。

10   試練には必ず脱出の道が用意されているので安心して生きる。

11   未来は明るいと信じる。物事はなるようにしかならないので楽観的に考える。

12   取り越し苦労はしない。問題が起こったらその時解決策を考える。

13   忘れることも多くなるが、細かいことは気にせずにおおらかに生きる。

14   生き方のモデルを探して、真似して生きる。

15   好きなことを見つけて、人生を楽しむ。

16   生かされていることに感謝して生きる。

17   何ができなくとも神様が作られた最高傑作だと思います、自分に自信を持って生きる。

18   どんなに病気はすすんでも自己は、消滅しないと信じる。

 

まとめ   自分の能力を信じて生きる。

 

こんな時は若年認知症をうたぐる

1     打ち合わせの議事録が書けない。

2     指示がうまく伝わらない。

3      コミュケーションに支障をきたす。

4      打ち合わせの日時と場所を忘れる。

5      期日までに仕事が終わらないが、仕事が期日までに終わらない見込みだが途中経過の報告ができない。期限までに、報告書が提出されない。

6      報告書に、誤字脱字多く、内容も幼稚で、ミスが多い。

7      仕事の段取りが悪い。

8     仕事の効率が悪く、作業量が減った。仕事の量の割には、残業が多い。

9      いつも疲れた顔している。

10   指示が理解できないのに、質問がない。受け答えに違和感を覚える。適切な言葉が出てこない様子だ。

 

困りごととその対策

1   夜眠れないこともある。

    対策    音楽などを聞いて、夜を楽しく過ごす。無理に寝ようとしない

2    何もする気力がない。本も読めない。ピアノの練習する気力もない。

    考え方   気力がでるまでまつ、気力でない時もあると認めて、うけい入れる。

3    何もかもがどうでも良くなる。なにもかもが面倒くさい。生きる気力がない。

     対策   疲れているしょうこなのでひたすら寝る。

4    時間感覚がないので、食事に遅れる。バスに乗り遅れる。

      対策     アラームで知らせる。

5    忘れ物が多い。

       対策    前日から用意をする。

7    床屋に行くのをわすれる。クリーニングを取りに行くのを忘れる。洗濯していたこと忘れる。

       対策     アラームで知らせる。

8     外食する時、インシュリンを持っていくのを忘れる。

        対策    持ち物チェクリストをつくって、確認する。

9    生きる張り合いがない。死にたくなる。生きる気力がない。

      対策     疲れている証拠なので、ひたすら寝る。寝れない時は、音楽を聴いてゆっくりする。

10   隣で食事している人の名前が出てこない。顔は思い出すが、名前が出てこないので電話をかけることができない。名前が出てこないので、メールも出来ない。

       対策    知人リストを作成する。

11   注意しないと、一円と100円の区別ができない。

       落ちついて行動する。

12    外出するとき、スマホを持っていくのを忘れる。財布を忘れる。ドアの鍵をかけるのを忘れる。

        対策   時間に余裕持って出かけ、チェックする、癖をつける。

13   やろうとしていることを忘れる。パソコンを立ち上げても何のために立ち上げたのか忘れる。      対策   なし

14   Ipad を持っていくのを忘れる。

       対策   時間に余裕を持ち、忘れ物はないかチェックする習慣をつける。

15  外出する時ペットボトルを持っていくのを忘れる。

       考え方     忘れ物はないかチェックする、習慣をつける。

16    電話番号が短期記憶出来ない。短い文章が短期記憶できない。

         対策  スマホのメモ機能を使って、メモする。

17    名前がおぼえられない。ケアハウスの職員の名前がいつまでたっても覚えられない。

        対策   知人リストを作成する。

18    エレベーターの階数が意識しないと押せない。

         意識して押すしかない。

19    地図が読めない。新しい場所にいけない。

         対策    案内人を頼む。

20     ものをよくなくす。スマホをどこに置いたかわからなくなる。書類を良くなくす。

         考え方    探すと混乱するので、出てくるまで待つ。

21   掃除もやる気力がなく、部屋がゴミ屋敷。

         対策    ヘルパーさんに手伝ってもらい片付ける。

22   疲れがたまる、何もかもがどうでも良くなり、生きるのが辛くなる。

        対策    疲れている証拠なので、ひたすら寝る。

23    孤独である。

        対策    親しい人に電話する。

24   音がうるさくて、音楽が雑音にしか聴こえない。

       対策   静かに写真集を見て過ごす。

25    無性に寂しい。

        考え方   そんな時もあると、受け入れる。

26    気分が落ち込む時がある

         考え方     受け入れる、気分が良くなると信じる

27    人生が楽しくない

         そんな時もあると受け入れる。

28   生きる喜びがない。

        人生ってすらしいと、感謝して生きる。

29   否定的なことばかり思い浮かぶ   例えば、生きている意味があるのか。

       対策    疲れている証拠なのでひたすら寝る

30    生きる張り合いがない、恵まれているが幸せ感を感じないときがある。

        対策     気分転換にさんぽにでる。

31    生きる目的が見つからない。

        考え方    生かされていることに感謝して生きる。楽しことをして、気分転換をはかる。人に話を聞いてもらう。

32    満ち足りて、幸福に感じることがある一方、疲れて何ももしたく無くなり、生きる気力を失う時もある

       考え方    疲れている証拠なのでひたすら寝る。

 

 

認知になるとどうなるか

1     ものの名前、人の名前が出てこなくなる。

2      単純ミスが多くなる。例えば、メールの宛先を間違える。

3      良く知った道でも迷う。

4      意欲・気力がなくなる。

5      ボケーとしていることが多くなる。

6      新しいことが覚えられない。

7      約束を忘れる。

8      だらしなくなる

9       物事に興味を失う。

10     料理をしなくなる、料理の味が変わる。

11     仕事の段取りが悪くなる。

12     込みいた話が理解できなくなる。

13     言葉が出なくなる。

14     判断力が鈍くなる.適切な判断ができなくなる。0

15     要点をまとめて、記録が取れなくなる。

 

認知症とうまく付き合うには

1    困りごとを笑い飛ばし、おおらかに生きる。

2    困りごとを書き出し、調子の良い時に、対策を考える。

3    できないことがあっても、受け入れて、人の力を借りて乗り越える。

4     自分には、無限の可能性が残されていると信じる。自分の能力を信じる。自分に自信を持つ

5     なんでも 前向に考え、努力する。向上心を持つ。

6      達成可能な目標を立てて、充実感を味わう。例えば健康のために1日、平均五千歩歩く。

7      些細なことが気になるので、全てを神に委ねる。

8      世の中なるようにしかならないと、開き直る。

9     取り越し苦労はやめる。問題が起こったら、その時考える。

10   小さなことに、こだわらずおおらかに生きる。

11   楽しい時間を持つ。私は、川柳、臨床美術で絵を描くことで楽しく時間を過ごしている。

12    役割を持つ。なんでも良い。

13    否定的なことを引ずらなくて、前向きに生きる。

14    いつも、笑顔でいる。おいしいものを食べる

15     出不精になるので、出来るだけ外出するように心がける。

16    廃用症候群にならないため、常に自分の頭で考えて行動する。

17    考えたことは、ipadで文章化する。

18    後ろ向きなことは、考えない。

19     おのれを磨くことを考える、そうすれば幸せになる。

20    持ってる物で満足する。無い物ねだりはしない。

21    常に、どうしたら楽しく過ごせるか考えて、文章化する。

22    人に親切にする。親切にすると長生きする。

23     感謝して生きる。

24    人を赦し、その人から自由になる。

25    バランスの良い食事をする。

26    毎日30分歩くなど、適度の運動をする。

 

まとめ  楽しく人生を過ごすことが大切である。

 

認知症に負けない暮らし  

1    生かされていることに感謝して生きる。例えば、朝頭痛がしても、毎日頭痛がなことを感謝。

  生かされていることは当たり前でなく、奇跡であると思い生きる。

2    いつまでも気を若くして、発展途上の人だと思い、向上心を忘れない。

3     できないことには目をつむり、できることに着目して生きる。

4     好きなことをして生きる。好きのことが見つからない時には、嫌いでないことを始める好きになるかもしれない。

5    小さな幸せに感謝する。例えば、朝散歩できる幸せ。

6    役割、使命を探して生きる。

7    人に挨拶できることを喜びに思う。人との出会いを大切にする。

8    失敗にめげない。7転び8起きの精神でゆく。失敗は成功の元。

9    健康のために毎日、平均5000歩を目標に歩く。

10  自暴自棄に陥らない。どんな時にも希望を持つ。

11  何ができなくとも、自分に自信を持って生きる。

12   平凡な暮らしに満足する。人と比べない。持っているもので満足する。高望みしない。

 

 

困ってはいないが不便な点

1    朝起きられない。

対策  スマホのアラーム機能で起きる。

2     時間感覚がないにで、食事の時間遅れたり、バスの時間に乗り遅れる。

対策  アラームの指示で動く。

3      洗濯していることを忘れる。

対策  終了時間にアラームを設定する。

3      予定が覚えられない。

対策  Googleカレンダーで予定を管理して毎朝確認する。

4       電車で外出する時、途中駅が分からないので、常に次の駅を気をつけているので非常に疲れる。

対策  あらかじめ、到着時刻を調べ、電車に乗ったら、タイマーをかけ、乗ってる時間で降りる。途中駅を気にせずに、疲れない。

5     忘れ物が多い。

対策  前日から持っていくものを準備する。

6   財布に小銭が貯まる。

対策  suica かクレジットカードで決済をする。

7.   Zoom 会議を忘れる

対策  会議が始まる10分前に電話してもらう。

8    約束を忘れる。

対策 あらかじめ電話してもらうように頼んでおく。

9     物事を忘れる。思いついたことを忘れる。

対策 ipadでメモをする。

10   文字が書けない。

対策  ipad で記録する。

11   スーパーで商品の位置がわからない。

対策  効率的に買い物する、考えを捨てて、のんびり買い物する。店員に聞き。

12    地図が読めないので、新しい場所に1人で行けない。

対策  案内人を立てる。

13    人の名前が出てこない。

対策  知人リストを作る。

14    物事を覚えられない。

対策  ipad でメモする。

15    人の名前が覚えられない。

考え方 相手が覚えているから大丈夫と割り切る。認知症のため、覚えられないと断っておく。

16     物をよくなくす。書類をなくす。

考え方 余分のものは、捨てる。定位置におく。探すと混乱するので出てくるまで待つ。

17     何もする気力がなくなる事がある。外出が億劫になる。

考え方 そんな時もあると見て認める。音楽を聴いてのんびりする。病気の症状だと割り切る。

18     買い置きしてある商品を買ってくる。

対策  買ってはいけないものリストを持って出かける。

19    睡眠障害を起こして、寝付かれない。夜中にめがさめる。

対策  朝散歩をする。寝る努力はするがどうしれも寝れない時は、音楽を聴いて、楽しくすごす。

20    音がうるさくて、音楽が雑音としか思えない。

対策  写真集、絵本、図鑑を見て過ごす。

 

こう接してもらいたい

1     ダメ出しをするのではなく、できる方法を助言して欲しい。

2    何が食べたいですか、と聞くのではなく、和食と洋食でどちらが好きですかと選択肢を示して聞いて欲しい。

3    気分によって食べないものや、飲みたいものが異なるので、まいかいいこうを聴いて欲しい

4    私たちの能力を信じて、なんでもさせて欲しい。

5    時間がかかっても、できることはさせて欲しい。

6    反応するのに時間がかかっても、待って欲しい。

7    会話は視界に入ってから、話してほしい。後ろから話さないで欲しい。

8    個性、嗜好を尊重してほしい。

9    指示は毎回一つ。一度に複数の指示は出さないで欲しい。

10   信頼関係を構築してほしい。

11    いつも笑顔で対応して欲しい。

12   同じ質問でも、面倒くさがらないで、同じ回答でいいから笑顔で対応してもらいたい。

13何ができなくとも、一人の人格のある尊い存在だと思って付き合う。

14    人の言葉、記録を鵜呑みにせずに、自分で接して見て、接し方を決める。

15   過去の生活履歴は参考にするが、今のその人が何をしたいのかを一緒に考える。

16    自分の価値観を押し付けるのではなく、その人の世界観をよくきいてその人の価値観に寄り添って物事を決める。

17    認知症に人は、私たちと別の世界に生きているので、よく状況を聞いて、その人の世界を理解して、その人の世界に寄り添う。

 

こう、接してもらいたくない。

1    面倒だと言う理由で 一時しのぎの嘘をつくこと。

2    時間がないと言う理由で、できることまで奪ってさせない。

3    幼児言葉を話す。

4    プライドを傷つける、態度、話し方をする。

5    規則を守らないと言う理由で、差別する。

6    後ろから話しかける、話しかけれていることが認識できないので必ず、正面から、視野にはいった状態で話す。

7     一度に複数の指示を出す。指示は毎回一つ、一つの指示が終わってから次の指示を出す。

8     出来るだけ待たせない。

9     意向を無視しない。

10    怒った態度、不機嫌な態度で接し無い。いつも笑顔で接する。

11    その時の気分で指示を出す、指示に一貫性がない。

12    都合の悪いことは、利用者のせいにする。

13    言い訳ばかりする。失敗したら、やっぱりと言うような色メガネで見る。

14    信頼できない。責任感がない。

15     思いやりがない。失敗をしても、人格を否定しない。適切な助言をする。

16     正直でない。約束を守らない。上から目線で指示をだす。

17     誠意か感じられない。どうせできないと言う態度を取らない。

18     言うことが首尾一貫してない。コロコロ主張が変わる。

19     言っていることと、反対の態度を取る。

20      時間にルーズ。事務的に対応しない、誠意が感じられない。

 

まとめ  嘘をつかない、プライドを傷つける言葉は言わない、不機嫌な態度は取らない。

 

パートナーについて

パートナーとは

 

1)   同じ目的を持ち、お互いを尊重しあい、喜び合い、ともに考え行動してくれる人。

2)   認知症当事者の人権、自由、自主性、夢を尊重して、守ってくれる人。

3)   困ったことを、上から目線でなく、対等な立場で、解決策を考え、援助してくれる人。

4)   お互いに別人格で、意見の相違が出ることを前提に、きたんのない意見を述べあいお互いに感謝しあい成長できる仲間。  

  

2   介護者とパートナーの違い

     介護者は、日常生活の世話、身体介護をする人で、パートナーは、その人の人生において寄り添い、心の支えになり、その人のー人生の伴走者です。パートナーは、介護を手伝う人もいますが、手伝わない人もいます。

 

3    パートナーの役割

)   認知症当事者の夢の実現を手助けする。

 2)   認知症当事者の能力を信じ役割を考える。

3)    上から目線ではなくどうすればより良い生活が送れるかを考える。

4)     人生の伴走者となり、一緒に対等な立場で物事を行い楽しんでくれる人

5)     認知症当事者の人権を理解してその人権を守る。

6)     認知症当事者の活動又は生活を支える。

7)   認知症当事者が人生に行き詰まったらその解決策を一緒に考える。

8)     困った事があったら自分の事のようにサポートしてくれること。

9)     同じ目標に向かっていたわりあい協力して目標を達成する手助けをすること。

10)    認知症当事者の人生に寄り添って心の支えになること。

 

認知症に優しい街とは

1   認知症の人にただ親切にすするだけでなく、認知症の人の行動を見守り、優しく援助する街である

2   認知症の人を正しく理解して、特別扱いするのではなく、対等に、社会の構成要員と認め、一緒に社会を作っていく仲間と認めることである。

3    なんでも援助して、認知症当事者の出来る能力を奪うのではな、能力維持のため、自分でできることは、時間がかかっても、自分でしてもらい、本当にできないことだ、てつだうことである。

4   認知症、当事者の自主性も尊重する、社会である。認知症当事者の自由を最大限尊重する。

5    命に関わる、失敗は許さないが、命と関係ない失敗は許して、認知症当事者が生きやすい社会ある。失敗を恐れて、何もかもさせない社会でない。

6   認知症当事者が犯す社会的損失を、家族に負わせるのではなく、社会全体でおう仕組みを考える。

7   認知症当事者の願い、および夢を手助けして、認知症当事者がイキイキできる社会。

8   認知症当事者がリスクを負うことを認め、自己責任で自分のしたいことを認める社会である。

9   認知症当事者をできるだけ制限させない。制限は最小限にとどめる。

10  認知症当事者の立場になって物事を決め、当事者抜きで物事を決めない。

11  認知症当事者には、判断能力が無いとおもわない。

12   意思疎通の手段が失われても、何も考えられないのではなく、豊かな精神活動を営んでいること認める。適切な表現が見つからないだけであり、物事を理解できると考える。丁寧に説明すれば、理解できると考える。

13   上から目線でなく、対等な立場で一緒に楽しんでくれる社会。

14  認知症当事者をかわいそうなひととみるのではなく、一人の人格がある、個性豊かな人とみなし、画一的な認知症の人と捉えない。

15   個性を尊重してくれる社会。好みを大切にしてくれ、一人一人の違いを認めてくれる社会。

16   自分の価値感を押し付けない、多様性豊かなバライティな社会。

17   例え障害を抱えていても、差別することなく、一緒に上から目線でなく、対等な立場で楽しんでくれる社会。

 

認知症に優しい社会とは

1  認知症本人にも自己責任を認め、したいことをさせる社会。

      理由  本人がしたい事をすることは、基本的人権であり、極度に病状が進んだ人を除いて、本人が望むことをさせる。自己責任を認めないことは差別していることである。保護を理由に基本的人権を侵害していることである。

2     認知症本人をかわいそうな人と見るのではなく、一人の人格のある人と見なす社会。

      理由     かわいそうと見るのは、あの人は私たちとは別の人と、差別していることになるので、同じ仲間として対等に付き合い、物事を一緒に楽しむ。上から目線で一方的に支援しない。対等立場で一緒に物事を楽しむ。

3    認知症本人に立場に立った、本人抜きでものごとをきめない社会。

     理由    本人の望むことは、本人しかわからないので、本人の処遇については、本人の意向を最大限重視する。    本人抜きに、物事を決めない。

 

まとめ、認知症本人を、差別することなく、同じ社会の構成要員の一人として認め、基本的人権を認め、本人が生きがいの持てる社会を作っていこうではありませんか。

 

楽しく人生を送るには。具体的には

・美味しいものを食べたり、楽しいことをしてすごす。私はステーキ、寿司、うな重など美味しい外食をして人生を楽しんでいます。

・楽しい趣味をみつけて、充実した人生を送る。私は、臨床美術で絵画を描いたり、ピアノをならっています。好きでないものが見つからない時は嫌いでないものに打ち込む。好きになるかもしれない。

・初めから出来ないと諦めるのではなく、時間がかかってもできると信じで、食わず嫌いにならなく初めて見て、どうしてもストレスになるようだとやめる。

三日坊主大いに結構。自分に向かなかっただけ、肩苦しく考えない。何事もやってみないと何が向いてるかわからない。

私は色々な人に助けられ、アルツハイマー病になり20年になりますが幸せです。

一度しかない人生、何事も前向きに取り組む。

小さなことにくよくよせずにおおらかに生きる。

貯めるだけでなく、生きたお金の使い方をする。

何もしないことにも価値を見出す。ノンビリ、ゆったり過ごすことも大切です。

何事にも時が必要なので、待つことも重要、焦らない。

人の意見に振り回されず、確固たる自己を持つ。マイペースに生きる。人の意見は参考にする。

考えをまとめるには書き出してみると考えがまとまる。急がない。

体調不良の時はそんな時もあると、焦らずに受け入れて次を待つ。

人生は短い、思い立ったら吉日、やりながらかんがえる。やらないのは、思い浮かばないのと同じである。光陰矢の如し。ただし無理はしないでできる範囲で行う。

過去に引きずられるのでなく、自由にいきる。

自己責任で、色々なことして、人生を楽しむ。

文章を書いたり、ゲームをしたり、ボケーとしないで頭を使う生活をする。

自分には無限の可能性が残されていると信じて積極的に生きる。

いかに生きるかを常に考えて生きる。

生涯青春、何かを追い求めて生きる。未来は明るいと信じる。

他人は自分のために生きているのではなく、自分も人のためにいきているにではなく自分のために生きている。

                                          以上

 

認知症になった私が伝えたいこと 

はじめに

20051027日、私はアルツハイマー型認知症と診断されました。

「あなたはアルツハイマー病です」と医師から言われた時、私は頭が真っ白になり、質問することができませんでした

当時私はまだ51歳でした。

医師から十分な説明がなかったので私は図書館や本屋に通い、「アルツハイマー」に関する本をかったぱしから、読んで勉強しました。

でも知識は増えるごとに、私は希望を失っていました。

何を読んでも

「認知症になると考えることができなくなる」

「日常生活ができなくなる」

「いずれは自分自身のこともわかんなくなる」

「意思も感情もなくなる」

と言うようなことをしか書かれていなかったからです。

 

認知症は世間で言われているように怖い病気でしょうか。

私は、自分が認知症になり、できないことも増えましたが、できることもたくさんあることにきがつきました。

認知症の診断を受けて16年になりますが、今も一人暮らしを続けています。

認知症であってもいろいろな能力が残されているのです。

世間ある認知症に対する偏った情報、間違った知識は、認知症と診断された人自身にもそれを信じさせています。

この二重の偏見は、認知症と生きようとする当事者の力を奪い、生きる希望を覆い隠すものです

 

「できる」「できない」だけで、人間を語ることはできません

自分が自分である事は、何によっても失われることありません。

認知症になると、確かに不便ですが、決して不幸ではありません。 

自分なってどのように生きていくかは、自分で決めて、自分で作ることができるのです。

 

「認知症になって、人生をあきらめない」

そんな気持ちで、私は毎日過ごしています。

 

認知症と生きる私からのメッセージ

本人へ

自分が認知症ではないかと不安を感じている人。

診断を受けてこの先どうしたらいいか光が見えない人。

不便や不自由が増えてストレスでいっぱいの人。

他人の手を借りて日々を送っている人。

今たくさんの本人がこの時を過ごしていると思います。

他人の手を借りて日々を送っている人。

今たくさんの本人がこの時をすごしていると思います。

11日、そしてこれからの人生を共に有意義に生きていこうではありませんか。

失った機能を悩んだり、嘆いたりするのではなく残されている能力を信じましょう。

認知症になっても楽しみや張り合いがある暮らしを送ることができます。

絶望することなく希望を持ちましょう。

できないことが多くなっても自分は自分です認知症になったからこそ他人を気にせず他人と比較することなく自分の好きな時間を使いましょう。

1人でがんばろうぜ同じ病気を持ちながら暮らしてる仲間繋がり合いましょう。

そして、勇気を持って、自分が感じていること、思っていることを、周りの人に伝えていきましょう

本人が発信していくことで認知症に対する誤解や偏見をなくし、世の中を変えることができるはずです。

認知症になっても人生をあきらめないで。私も諦めません。

 

家族へ

本人の意思が無視され家族の意向だけで物事が決められることがあります。

本人は、何も考えられんのではなくすぐに判断したり、すぐに言葉にすることができないだけです。

記憶障害のため、同じことを何度も言ったり、何度も聞いたりするかもしれませんが、どうか本人の話を聞いてくださていることに、負い目を持っています。もし家事などでちょっとした手伝いが出来るなら、役割を与えてくださいそうすれば、自分が役に立っていることが実感でき、自信が生まれます

何もしないと症状は早く進みますが、こうすることで進行を遅らせる効果があるのではないでしょうか。

本人は家族が介護で疲れきってしまうことを望んでいません。ショートステイなどの地域資源を使って、自分のための時間を持ってください。

介護に関して様々な情報が耳に入ってくるかもしれませんが、認知症の人は一人一人が違いますから、それが全て正しいとは限りません。

人の意見は、あくまでも参考意見です。その通りできなくても自分を責めないでください。

本人だけでなく家族も孤立しています。

本人を1人で置いていけないから地域の家族会議等には出ていけないと言う人も少なくないでしょう。 

でも家族会に同じような境遇の人たちが集まっています。参加すれば多くの悩みを分かち合えることができると思います。

 

地域の人へ

認知症の人を、自分たちとは違う人間だと考えるのではなく、共に歩む仲間だと考えてください。

認知症の人は何もわからない人ではなく劣っている人でもなくかわいそうな人ではありません。

私たちともにも生き生きと豊かに暮らしたい。

施設は病院に閉じ込めんなではなく、街に出て、買い物をしたり、喫茶店でおしゃべりをしたり、認知症になる前と変わらない生活を希望しています。

そのために、認知症と言う病気を正しく理解ください。

認知症の人は、何をするにも時間がかかったり、よく失敗したりしますが、そんな時も、どうか温かく見守ってください。

私たちは、地域でサポートしてくれる人がいたら大変助かります。例えばどこか出かける時に一緒についてきてくれ一緒にいてくれるだけで良いのです。私たちは何をするにも不安なのでそれだけで安心を持つことができます。

認知症の人について「徘徊」と言う事はよく言われます。でも、「徘徊」などと言う言葉は、使わないでほしい。私たちも、地域の社会の一員です同じ仲間として受け入れてもらいたいです。

効率優先の社会ではなく高齢者や障害者、弱い人に優しい社会であってほしい。そして一人ひとりに少しだけサポートしてほしい

現在、500万人近くいる認知症の人たちが、これからももっと前向きに、希望を持って人生を送れることが出来るようにみんなと一緒に考えたいと思っています。

 

すべての人へ

認知症になりたくてなる人はいません。

認知症になって、自分の生活、そして人生が大きく変わりました。認知症になった事は残念なことですが決して不幸ではありません。認知症になったらできなくなることも多いんですができることもたくさんあります。

本人は何も考えられない人ではなく豊かな精神活動営むことができる人です。

本人は医療や介護の対象だけの存在ではなく、どんな時でもかけがえのない自分の人生を生きている主人公です。

本人は、自分でやりたいことや、自分でできる仕事、ボランティアなどを通じて社会の中に貢献できる社会の一員です。

認知症の人たちは、社会の「お荷物」的な存在ではなく、老いたり、生活が不自由になったりしても、誰でも自分らしく堂々と暮らして行ける新しい世の中を身をもって作り出していく人たちです。

今認知症と共に生きる多くの人たちそして、これから認知症になるかもしれない無数の人たちが、認知症になっても幸せに生きる社会を一緒に創っていこうではありませんか。

人間の価値は、「これができる」「あれができる」と言う有用性で決定されるものでありません何ができなくても、尊重されなければいけない存在です。

私はこれからも広く認知症の人がこういう風に考えているだと言うことを社会に向けて訴えていきたいと思います。

 

おわりに

認知症の診断を受けたとき、今までの価値観が音を立てて崩れていきました。絶望の中から立ち上がるにはあなたに価値観を構築しなければなりませんでした。

いちど生きがいをなくした人間が、あらたな価値観を見つけるには時間がかかります。

しかし私は次の聖書の言葉で励まされ試練を乗り越えてきました。

あなた方のあった試練はみな人の知らないようなものではありません。

神は真実な方ですから、あなたがたに耐えることできないような試練に合わせるような事はなさいません。むしろ耐えることが出来るように試練とも脱出のみち備えてくださいます。

 

私は、苦しみ、もがき続けた結果、何かに情熱を持って生きることこそが、素晴らしいことだと気が付きました。

はたから見ればつまらないと思えるかもしれないことでもやってる本人が情熱を注ぎ込むことができればそれで十分だと思います。

生き方はそれぞれ違って当たり前だしむしろ違うことにより意味があります。

人間の価値は「あれができる」「これができる」ということで決まることでないです。

もし有用性で価値が決める人生は絶望的です。なぜなら人は歳をとると、できることが少なくなるからです。人は何ができなくてもそれ自体尊いものです。役にたたなくなっても自分は尊い存在だと信じましょう。失った機能を嘆くのではなく、自分の無限の可能性を信じ、失敗を恐れずこれからも生きていきます。

 

認知症を発病する前にやっておいた方が良いこと

1    身辺整理  保険関係・財産目録の書類をまとめておく。使わないものは捨てる。

        ものが多いと探すのに苦労する。

2    集中力がなくなり、本が読めなくなるので、絵本、写真集、星野富弘の詩画集を集めておく。

3     文字が書けなくなるので、ipadで文章を作れるようにしておく。

4     時間を潰すのに苦労するので、やりたい趣味をみつけておく。おきに入りのCDをまとめておく。

5     自己紹介分文を用意しておく。

6     なんでも話せる友を一人見つけておく。心の支えに。

7     認知症なっても、心安からに生活するために、認知症本人の書いた本を読んでおく。

8     日記を付ける習慣をつけ、今日あった楽しいことを書く、3行ポジティブニックを書く。

9     日日、感謝する習慣をつけていく。

10    廃用症候群にならないため、文章を声に出して読む習慣をつけておく。

 

 

 

伝えたいこと20205

一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ理事 佐藤雅彦

1 認知症であっても、不便であるが不幸でない。

 何事にも時があるので、焦らない。

2 耐えられない試練は降りかかかってこないので、

 安心して生きる。

試練には必ず脱出の道が用意されているので、

 希望を捨てない。

4 持っているもので満足する、無い物ねだりはしない。

身分相応の生活をする。高望みをしない。

6   不平不満があるなら、自から動いて、解消する。

   自分の能力を信じて自信をもっていきる。

7   失った機能を嘆いたり、数えたりしないで、

  残された機能に感謝して生きる。

8    生かされていることに感謝していきる。

  できることより好きな事をして楽しく過ごす。

9    いつも発展途上だと思いま、向上心を忘れない。

   新しいことに挑戦する勇気を忘れない。

10  できないことはできないと悟り、

  人の力を上手に借りて賢く生きる。

11   不幸に鈍感、幸せに敏感に生きる。

  細かいことに気にせずおおらかに生きる。

12   世の中なるようにしかならないので楽観的に生きる。

 

   

付録

証し 「何ができなくとも 尊い」  

                     日本認知症本人ワーキンググループ理事 佐藤雅彦

「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」イザヤ書 434

 

200510月私はアルツハイマー型認知症と診断されました。当時、私は会社勤めをしていました。

 医師から「あなたはアルツハイマー病です」と言われたときは、頭が真白になり何も質問できませんでした。十分な説明がなかったので、書店や図書館にかよって、「アルツハイマー病」に関する本を片端から読みました。でも知識が増えるとともに、希望を失って行きました。なにを読んでも、「認知症になると考えることができなくなる」「日常生活が出来なくなる」「いずれは自分自身のことが分からなくなる」「意志も感情もなくなる」というような、負の情報しか書かれていなかったからです。

順風だった人生が・・・・

 少し振り返ってみると、私は1954年岐阜県で6人兄弟の次男として生まれました。家は兼業農家だったので田植えや稲刈り等を手伝いながら育ちました。小学校の頃から算数の得意な、作文の苦手な少年でした。工業高校の電子科から大学の数学科で数学を学びました。卒業後は中学校の数学の教師をしていましたが、向かなかったにで辞めました。コンピューター関連の仕事に着く東京に出てきたには24歳でした。プログラムを組む仕事は面白く、システムエンジニアとして充実した日々をおくっていました。

 バブル時代で景気もよく、埼玉県川口市に新築のマンションを購入したのは32歳のときでした。マンション管理組合初総会で推されて133戸のマンション管理組合の理事長に就任しました。ところが管理会社がずさんな管理をしていたので、再三改善を要求、それも聞き入れられず、委託会社の変更することになりました。その頃から耳鳴りがして。おそらく、多忙な勤務の上に、管理組合の活動、労働組合役員の活動でストレスからでしょう。病院に行くと「突発性難聴」との診断で1週間入院。聴力も戻り復帰しました。何故か、仕事に対する意欲が戻らず、緊張して一人で生活することができす、岐阜の実家に帰ったのです。心療内科では「過労による神経衰弱状態」と言われました。

 3ヶ月ほど静養して、復帰した88年。SEの仕事は負担が多すぎるとの配慮で他の部署に配置転換、思うように頭がが働きません、休職して翌年資材課に配転。パソコンの入荷(検品)、出荷作業をすることになりました。単調な仕事にやりがいをなくし、「自分は何のために生きているのだろう」と考えるようになったのは30代後半でした。

絶望の縁から

 ある日、郵便受けにはいっていた聖書研究会のビラに目が止まり、家の近くのキリスト教会に通うことになりました。40歳を目の前に、洗礼を決意、94年のイースターの日に洗礼を受けクリスチャンになりました。それでも生きる目的は見つかりませんでした。その後会社近くの教会に通ってみて、初心者のための勉強会に参加して満足が行きましたワールド・ビジョン・ジャパンを知り、活動の輪に加わりました。それで96年にタイの寒村を訪問したりまた、日本国際飢餓対策機構を通じて支援していた、バングラデシュの子供に会いに行きました。

 一方職場では、購買課に異動。2000年に社内システムの変更に伴い、仕事量が増え、仕事がこなせなくなり2度目の休職へ。今から思えば、この頃までに認知症を発症していたのかもしれません。02年に配送グループに復職。配送先を見つけるのに時間がかたり、帰り道に迷ったり、正しく届けたかどうかが不安になることが増えました。そして05年になると、台車をユーザ先に忘れるようになり、商品が複数個あると正確に届けた記憶が不確実になりますます不安な日々に。認知症と診断を受けたのは、そんな時だったのです。絶望した私はもっと人生を楽しみたかったので病気休暇に入り、062月、25年勤めた会社を辞めました

神がおられる

退職直後は職場の重圧から解放されて、教会の聖歌隊に入って歌の練習をしたり、ワールド・ビジョン・ジャパンの事務ボランティアをしたり、それなりに充実した日に思へました。ところが、20064月に父がなくなると、急に将来の不安が募ってきたのです。アルツハイマー病の本を読みすぎたのか「料理している途中に電話がかかってきて、長話をしているうちに、フライパンの火が燃え上がり、マンションが火事になる」といった思いが頭をよぎるようになりました。

 そして診察の時に使用するためにと入力していたパソコンが故障した時、パニックを起こして病院に行っていました。すると主治医から「男性の一人暮らしでは、介護保険のヘルパー派遣は無理」とグループホームへの入居勧められたので、さらに混乱して寝込んでしまいました。弟の判断で岐阜の実家に帰りました。実家で何日か眠り続けた後、今度は眠れなくなり、外出して気分転換を可能としましたがその時、外は大雨で散歩に出かけることができず、気が狂いそうになり神に祈りました。

「愛する天のお父様。私は今、気が狂いそうです。どうか正気に戻してください。ただし、それがあなたの御心ならばそれに従います、すべてを神に委ねます。アーメン」

 するとどうでしょう。心に平安が戻り、眠ることができたのです。神様が私を尊いと言われ、そして本当に私を愛してくださっていることを実感した瞬間でした。その時に示されたのが、冒頭の成句です。洗礼から12年すべてを神になることができるようになりました。

人間の価値は

私は自分が認知症になり、できないことも増えましたが、できることもたくさんあることに気が付きました。認知症になっても、楽しみや張り合いのある暮らしを送ることができます。私は57歳になって絵を始め、62歳からピアノを習いました。できなくなることも多いですが、自分は自分です。認知症になったからこそ、他人の目を気にせず、他人と比較することなく自分の好きなことに時間を使います。

 自分を見つめる時間ができたおかげで、人生の目的を見つけました。私の場合、それは神の栄光のために生きることです。教会と聖歌隊で賛美することが、私の生きがいです。そのために生かされていると考える今日この頃です。

 人間の価値は、「これができる」「あれができる」と言う有用性で決定されるものではありません。何ができなくとも尊い存在です。多くの人に助けられて、ここまでこられたことを感謝します。私はこれからも認知症の1人として、このように考えて生きていくことを広く社会に訴えていきたいと思っています。

 そしてお伝えしたいことは次の3点です。

1   認知症になっても、不便であるが不幸でない。

2   失った機能を数えたり嘆いたりするのではなく、残された機能に感謝して自分の能力を信じていきる。

3   試練には、必ず脱出の道があると信じて希望持って生きる。