兵庫県三木市での講演内容 2018年1月20日(土)

 

 

認知症になった私がつたえたいここと            佐藤雅彦

 

1 自己紹介】

 

1954年 岐阜県海津町(現・海津市)に6人兄弟の次男として生まれる。

 

1977年 名城大学理工学部数学科卒業。

 

1978年 中学の数学教師を経て、東京のコンピューター会社に就職。

 

1982年 別のコンピューター販売会社に転職、システムエンジニアしとして勤務。

 

1986年 埼玉県川口市内にマンションを購入。133所帯の管理組合理事長に就任。

 

1987年 多忙により突発性難聴を発病1週間、入院後実家で静養。  

 

1988年 システムエンジニアの仕事がうまくこなせずに休職。

 

1989年 復職後事務職に配置転換になり、仕事への意欲をなくす。

 

1994年 「生きる目的」をもとめ洗礼をうけクリスチャンになる。

 

1999年 会社の課内会議の議事録がかけなくなるなど、仕事のミスが増える。

 

      体の異変に気づき、頭部MRI検査を受ける、「異常なし」と診断される。

 

2000年 短期記憶ができず、仕事を効率的にこなすことができず2度目の休職。

 

2002年 配送係として復職。

 

2003年 民間の援助団体を通じて支援しているバングラディシュの子供に会いに行くた

 

めに経由したタイ国際空港で迷う。空間認知能力に障害を受ける。

 

2005年 配送の仕事に困難が生じ、精神科を受診、問診の後CT検査を行った結果、

 

    51歳のときアルツハイマー型認知症と診断される。

 

    その後、若年認知症家族会「彩星(ほし)の会」を知り、それをきっかけに様々

 

な支援者に出会う。

 

2007年 携帯電話を使いはじめる。認知症当事者の交流会に参加。

 

    認知症啓発の講演活動をはじめる。                    

 

2009年 厚生労働省主催の「若年性認知症施作を推進するための意見交換会」に参加。

 

2011年 オーストラリアの元政府高官の認知症当事者クリスティーン・ブライデンさんとスカイプを使っての公開対話(武蔵大学)。

 

2012年 認知症当事者の会「3つの会」代表に就任。

 

2013年 第6回世界精神医学会のアンチスティグマ分科会で講演。

 

2014年 「日本認知症ワーキンググループ」共同代表に就任。

 

2016年 地元の川口市で「認知症とともに歩む本人の会」を立ち上げ、代表に就任。

 

2017年 第32回国際アルツハイマー病協会(ADI)国際会議で、日本認知症ワーキン

 

グループ共同代表として、発表。

 

    警察庁に日本認知症ワーキンググループ共同代表として運転免許に関する提案

 

書を提出。

 

    一般社団法人 日本認知症本人ワーキングループ 副代表に就任。

 

  【2認知症と診断されるまでの経緯】

 

  1999年ごろから、会社の議事録が書けなくなり、短期記憶に障害を受け、1文字ずつ見ないと、文字がパソコンに入力できなくなりました。

 

2年間休職しました。復職後、事務職は無理だろうということで、配送係に配置転換されました。

 

配送係になってから、2年間は、問題なく業務をこなしていましたが、次第に配送先の場所を探すのに時間がかかるようになりました。台車を配送先に忘れるようになり、複数商品を届けたとき、商品を正しく届けたという確信がなくなり、都庁に商品を届けたとき、出口を間違えて、自分の車を探すのに30分かかりました。

 

200510月、51歳のとき精神科を受診して、診察を受け、問診の後CTを取り、脳に萎縮がみられるとのことで、アルツハイマー型認知症と診断されました。認知症と診断されただけで、病気にたいする詳しい説明はなく、認知症と診断されたショックで頭が真っ白になり、思考停止状態に陥り、茫然として家に帰りました。診断されたショックで仕事をする気力をまったくなくし、病欠3か月後に会社を退職しました。

 

診断後、しばらくしてから、書店でアルツマイマー病の本を購入してアルツハイマー病の勉強をしました。そこには、考えられなくなる、判断力もなくなるとあり、多くの場合6年から10年で全介護になると記述されていました。病気の知識が増えれば増えるほど、生きる気力を失い、地獄の生活を送り、一人で生活ができなくなり、ふるさとの岐阜で静養しました。岐阜で50日間引きこもり、次第に元気になり、埼玉にもどってきました。それからは、できないことに目を向けるのではなく、できることに目を向けていきるようになりました。

 

 

 3認知症になって気付いたこと】

 

 自分が認知症になって2つの偏見に気が付きました。一つは自分の中にある偏見。それは、認知症になると、何もわかなくなるという偏見でした。当初それを真に受けて、何もできなくなると信じ込み、次第に無気力になり、だんだんできることが少なくなっていきました。

 

もう一つは世間の偏見です。こちらも、認知症になると、記憶力、判断力が鈍るとして、一人の大人として、扱ってくれなくなりました。認知症の人は、この二重の偏見に苦しめられています。

  

私自身、この2つの偏見に苦しみながら自分なりに考え暮らしてきた10年間の体験をまとめた本「認知症になった私が伝えたいこと」を大月書店から2014年に出版しました。

 

また、日常撮りためた写真とともに生き方や暮らしの工夫を記した「認知症の私からあなたへ 20のメッセージ」も2016年に出版しました。

 

 

20のメッセージ

  認知症になりたくてなる人はいない。

 

  「二重の偏見」が、私たちの力を奪う。

 

  できなくなったことを嘆くのではなく、できることに目を向ける。

 

  認知症になっても、新しく覚えられることがある。

 

  記憶が消えても、記録は残る。

 

  認知症にともなう困りごとは、知恵と工夫で乗りきれる。

 

  いまの苦難は永遠の続くのではないと信じる。

 

  自分が自分であることは、何によっても失われない。

 

  人は、何ができなくとも、価値のある尊い存在である。

 

  認知症になると、不便だけど、不幸ではない。

 

  ちょっとした手助けがあれば、いろいろなことが楽しめる。

 

  「できること」ではなく、「したいこと」をすればいい。

 

  一人ひとりの「認知症」がある。

 

  私には私の意思がある。

 

  「してもらう」「してあげる」より、「一緒にしたい」。

 

  他人から何かしてもらおうとするのではなく、他人に何ができるかを考える。

 

  私たちは単なる介護の対象者ではなく、社会の一員である。

 

  勇気をもって、自分が感じていること、思っていることを伝える。

 

  当事者が声をあげれば、世の中が変わる。

 

  認知症になっても暮らしやすい社会をともにつくろう。

 

【4認知症になって困ったこと】

 1 診察券をなくした

 

2 スマホをなくした。

 

3 夜寝られなくなる

 

4 本をどこに置いたかわからなくなる

 

5 電車で出かける時、途中駅がわからないので、降りる駅を間違える時もある。

 

6 薬の管理ができない時もある。飲み忘れる。

 

7 心配があるので、他の認知症当事者とはなしをしたい。

 

8 適切な言葉が出ないこともある。

 

9 毎食、一緒に食事をしている、隣の人の、名前をどわすれすることがある。

 

10 よく知っている人の名前が出てこない

 

11 漢字をかくことも、かきうつすこともできない。住所と自分の名前が辛うじてかける。

 

12 人の名前をおろか会ったこと自体覚えていないこともある。

 

13 絵を貸し出しても、貸し出した、絵の種類を覚えていない

 

14 バスにのりおくれる。

 

15 食事の時間に遅れる

 

16 財布をよくなくす。

 

17 Suicaと障害者手帳をよくなくす。

 

18 良く行く場所の最寄駅を忘れる。

 

19 昨日どうして過ごしたか、覚えていない。

 

20 よく、無気力になる。何もする気力がなくなる日が多い。

 

21 何もかもが面倒になる。

 

22  iPadに入力すると、全て忘れてしまう。

 

23 洗濯していることを忘れる。

 

24 注文したことを、覚えていないので、アマゾンで同じ本を2冊買う

 

25 スーパーで、すでにある商品を買ってくる

 

26 プリンターで打ち出した資料をよくなくす

 

27 整理整頓ができない。

 

28 よく調べもせず、飲料水をアマゾンで余計に買う。

 

29 テレビ、CD プレーヤーのリモコンをよく無くす。

 

30 物をよく無くす。例えば、ホチキス、セロハンテープ。

 

31 常に何かを探している。例えばiPad.財布

 

32 振込み用紙をよく無くす。

 

33 探し物で、無駄な時間を使っている。

 

34 出かける時、スマホが見つからなく困った、持たずにでる。

 

35 ポットの電源コードなくす。

 

36 印鑑証明のカード無くす。

 

37 フィットネスクラブのカード無くす

 

38 運転免許書をなくす。

 

39 パスポートをなくす。

 

40 少し困難なことがあると、諦めてしまう。粘り強さがない。

 

41 今日が、何日で、何曜日かわかない。

 

42 予定表を見ないと、今日の予定がわからない。

 

43 同時に二つのことをすると、一方を忘れてしまう。

 

44 電話での要件を忘れてしまう。

 

45 約束を忘れることもある。

 

46 予定を重複して入れることがある。

 

47 気分優れないが日が多い。

 

47 ボケーと、無気力にすごすことが多い。

 

48 何事にも、興味がわかないことが多い。

 

49 音に超過敏になり、音楽も騒音にしか、聞こえないこともある。

 

50 地図がよめない。新しいところに1人でいけない、迷ってしまう。

 

51 誤字、脱字が多い。

 

52 鬱状態によくなる。

 

53 がんばれない。頑張ると、翌日ねこんでしまう。

 

54 スケジュール管理がうまくいかない。

 

55 むだ使いをすることがある。

 

56 生きる気力をなくすことがある。

 

57 神経衰弱状態になるときもある。

 

58 予定を入力し忘れることがある。

 

59 机に向かってしごとができないので、パソコン入力ができない。

 

60 パスワードをよく忘れる。

  

【5私の工夫】

  

1 目覚まし時計で決められた時間におきる。

 

―夏場は5時に起きて散歩する。冬場は、朝食後散歩する。

 

2 食事前に、インスリンを打たなければならないので携帯電話で、アラームを設定し、何単位打つかメッセージが流れるようにしている。

 

3 朝食後の薬を飲み忘れしないように、アラームを設定する。

 

4 グーグルカレンダーで、その日の予定を確認する。

 

5 注射をうったことをすぐにわすれてしまうので、お薬カレンダーに注射の針を設定して、針があれば、まだ打ってない、なければ、打ったとみなす。

 

6 散歩するとき、万歩計のアプリを入手した。スマホを持ち歩き、歩数を記録する。

 

7 パスワードをよく忘れるので、パスワードの一覧表をつくっておく。

 

8 出かける15分前にアラームを設定して、出発時刻をおくれないようにする。

 

9 電車で出かける時は、出発時刻と、到着時刻をあらかじめしらべ電車に乗ったら、タイマーをかけ、途中駅を気にせずに到着駅の前で起きるようにする。

 

10 でかける、前日に、着て行く服を決めておく。

 

11 出かける日のスケジュールを確認して、シミュレーションをおこなう。

 

12  旅行の準備は前日までに行う。

 

13  大浴場で自分の脱いだ服がわからなくならないように、脱衣場で目印になるようにマイバスタオルを持って行く。

 

14  部屋番号は、スマホに入力する。メモ機能を使う。

 

15  電車に乗っている時、途中駅を気にせずに降りられるように、あらかじめ、到着時刻を調べ、乗り込んだらタイマーを設定して、降りる直前に、アラームを設定する。

 

16  予定を忘れないように、携帯電話のスケジュール機能を使い、イベントの20分前にアラームをせっていする。同時に、グーグルカレンダーに予定を入力して、一覧表でも予定を確認できるようにする。

 

17  朝起きたらスマホをでかける20分前に、アラームを設定して、もっていくのをわすれないようにする。

 

18  通販でものをかうときは、すでにかっていないかを確認する。

 

19  出かける30分前に、持って行くものの最終確認をする。

 

20  時間に余裕を持って出かける。

 

21  旅行に出るときには、スマホのメモ機能を使い、持って行く一覧表を作成する

 

22  買い物リストの他に、買い置きした商品を買わないように、買ってはいけない物リストも持って行く。

 

23  初めて行くところは、案内人を頼む。

 

24  お釣りの小銭がたまらないように、カードで買い物をする。

 

25  朝必ず、今日の予定を確認する。

 

26  人と会う約束をしたら、前日にメールを入れてもらうようにする。

 

27  約束は忘れるので、メールで連絡をとりあう。

 

28  時刻がよくわかるように、目につくところに、大きな時計を設置する。

 

29  食事のテーブルには、インシュリンを打ちましたかというラベルをはって、注射のうち忘れを防いでいる。

 

30  部屋の鍵を無くさないように、鍵をひもに吊るし、首にかけている。

 

31  現金を下ろしたら、すぐに通帳に用途を記入する。

 

32  大事なものは、一箇所にあつめそこで必ず見つかるようにする

 

33  見たい番組があれば、必ずアラームを設定して見逃さない。

 

34  自分なりの楽しみを見つけ、人生を豊かにする。臨床美術、ピアノを習って、フィットネスクラブにも通っている。

 

35  季節ごとに、桜、チューリプ、バラ、藤、コスモス、菊を見に行って人生を楽しんでいる。花の写真を写して家の中でも楽しんでいる。

  

  

【6.いかに生きるか】

 

 

1 できないことに目を向けるのではなく、出来ることに目を向けて生きる。

 

2 自分には無限の可能性があると信じる。

 

3 変えられることは、変える努力をして、変えられないことは、うけいれること。

 

4 できないことは出来ないと割り切り人に委ねること。

 

5 いつも希望を持つこと。

 

6 試練にあったら、なぜこんな試練に合うのですかと思うのではなく、この試練から何を学べば良いのですかと祈る。

 

7 向上心を失わないこと。

 

8 自分の使命を考えて、行動する。

 

9 新しいことに挑戦する勇気をつねにもつこと。

 

10 疲れたら休むこと、無理は禁物。

 

11 不平不満言わず、自ら行動すること。

 

12 生かされていることに感謝すること。

 

13 人のために生きること 社会に貢献すること。

 

14 人を愛するとともに、自分をも愛すること。

 

15 自分で自分のことを尊い存在だと思うこと。

 

16 何事にも感謝すること。

 

17 自分で自分の行動に責任を持ち、何事も人のせいにしないこと。

 

18 自分にできることを全てして、あとは天命を待つ。ぐじぐじしない。

 

19 失敗は成功のもと、失敗を恐れずこうどうする。

 

20 しない後悔をするより、失敗しても悔いのない人生をおくる。

 

21 小さなことにくよくよしない。

 

23 苦難は永遠に続かないと信じる。

 

24 必ず春が来ると信じる。

 

25 落ち込んだら、必ず脱出の道があると信じる。

 

26できることではなく、好きなことして過ごす。

 

27 何事も前向きに取り組み、出来ないという否定的な言葉を使わない。

 

28 達成可能な目標を立てて、充実感を味わう。

 

29 気力がなく、不甲斐ないと思っても、こんな時もあると、認める。

 

30 好きなことは、時間がかかってもできると信じる。

 

 

【7. 伝えたい事】

  

1何事にも時がある。考えられる、すべてのことをしたら、天命をまつ。ジタバタしない、なるようにしかならない。

 

2慎重に考えて、決断した事は最良の方策だと信じて、後で後悔しない。

 

3心配ごとがあれば、信頼で来る人に相談して、なんでも一人で抱え込まない。

 

4決断した事は、人のせいにせず、自分で責任をとる。愚痴はいわない。

 

5やらなかったことで後悔せずに、トライしてみて、天命をまつ。

 

6できない理由を考えるのではなく、できる方法を考える。

 

7 何事も言い訳を言わず、全力をつくす。

 

8 何事も、ポジティブに考える。

 

9 自分の能力を信じる。

 

10 自分の力が及ばないことがあることを謙虚に認める。

 

11 小さなことや、些細なことにくよくよしない。

 

12 一つの考えにとらわれることなく、いきづまったら、発想を変えて、別の方法を探る。

 

13 目先のことばかりにとらわれない。

 

14 好きなことは出来ると信じて行う

 

15 できない事は、できないと割り切り人に委ねる

 

16 できる事は、めんどうがらす率先して行う

 

17 変えられる事は変える努力をして、変えられない事受け入れる。

 

18 試練にあったら、なぜこんな試練に合わすのですかと思わず、この試練から何を学べば良いですかと祈る

 

19 試練には必ず脱出の道があると信じる。

 

20 他人と比べるのではなく、自分の人生を歩む。

 

21 生かされていることに感謝していきる。

 

22 生きている事は、普通のことでなく奇跡だと思う。

 

23 何事にも感謝して生きる。

 

24 自分は何ができなくとも、尊い存在だと思う。

 

25 他人を愛するように、自分をも愛する。

 

26 自分にしてもらいたいことを、他人にする。

 

27 自分の使命、役割を常に考える。

 

28 生きている人には、自分には分からなくとも使命、役割があると信じ、自暴自棄にお

 

ちいらない。

 

29 楽しみを見つけて生きる。

 

30 役割をもってハリにある人生を送る。

 

 

8どう接してもらいたいか】

  

 

1 たとえ、記憶障害があっても、人格のある、1人の尊い存在だと思って接してもらいたい。

 

2 たとえ、何も出来なくても、見下すのではなく、尊い存在だと思って接してもらいたい。

 

3 同じことを何度も言っても、言ったことを忘れているので、毎回初めて言う感じなので、うるさがらず、親切に対応してもらいたい。

 

4 何が食べたいですかと尋ねるのではなく、和食ですか、洋食ですかと選択肢を示して、尋ねてほしい。

 

5 一時しのぎ嘘はつかないでほしい。

 

6 そんなことは、小学生でも知っていると、馬鹿にしないでほしい。

 

7 できることまで支援しないでほしい。たとえ時間がかかっても、能力維持のため、

 

自分させてほしい。できない時だけ、さりげなく手伝って欲しい。

 

8 言葉で説明してから、介護してほしい。

 

9 わからないことは、推測、思い込みでするのではなく、些細なことでも聞いて欲しい。

 

10 本人の能力を信じて、介護してほしい。出来ないことも多いが、できることもたくさんある。

 

11 子供扱いせず、立派な大人として、接してもらいたい。

 

12 本人のプライドを傷つけないで欲しい。

 

13 役割をあたえてほしい。頼りにされたい。

 

14 腫れ物に触るのではなく、配慮は必要だが、普通の人として接してもらいたい。

 

15 おなじアルツハイマーでも、それまで歩いてきた人生によって異なるので、十把一絡げにしないで、それぞれの個性を尊重して欲しい。

 

16 できない事を指摘するのではなく、能力を引き出して、能力を発揮することができる助言が欲しい。

 

17 できる事まで支援しないで、できないことだけ、さりげなく支援して欲しい。

 

18 上から目線でしてあげるのではなく平等な立場で、「一緒にしましょう、一緒に楽しみましょう」と言ってもらいたい。

 

19 気候、気分により飲みたいものが異なることがあるので、毎回意向を聞いて欲しい。

 

20 一度できなくとも、気分によってやりたくないときもあるので、できないと決めつけ

 

ないでほしい。「次のとき頑張りましょうね」と励ましのことばがほしい。

 

21 個性、好みを尊重して欲しい。

 

22 目的地までは、先を行き、目的地に着いたら、ゆっくり見たいので、後からついてきてもらいたい。

 

23 危険な事を除いて、学習効果があるので、何でも挑戦させて欲しい。

 

24 出来ることは、待って、自分でさせて欲しい。

 

25 私たちの能力を信じて欲しい。決して何もできない人ではない。

 

26 この方法でなくとも、別の方法があると、柔軟に考えて接して欲しい。

 

27 認知症の人にも人格がある事を認めて尊重してほしい。

 

28 出来ることと、人間の価値とは異なることを理解して欲しい

 

  

【9.認知症当事者にとって住みよい社会】

 

 

・道に迷ったりした時など、何かお困りですかと声をかけてくれる優しい社会

 

・スーパーで支払いが遅くても苦情を言わない、成熟した社会

 

・作業が遅くても、好きなことをしてお金を稼げる社会

 

・上から目線で援助するのではなく、対等な立場で、一緒に物事を楽しんでくれる社会

 

・失敗をしても、許してもらえる社会

 

・効率第一主義でなく、ゆっくりと暮らせる、スローライフの社会

 

・ギスギスしない、思いやりのある社会

 

・弱肉強食の世界でない、弱者に優しい社会

 

・色々な価値観を認める、多様な社会

 

・障害者、弱者を差別しない思いやりのある社会

 

・相手の立場を察することができる優しい社会

 

・席を譲ってくれる、親切な社会

 

・自分の権利、主張だけを言わずに、相手の立場も理解できる、優しい社会

 

・お互い様だと思い、譲りあい、協力して助けあう社会

 

・弱者にも、役割を与えてくれる、弱者が活躍できる社会

  

 

あなたも自分の住みよい社会を考え、認知症なっても住みよい社会を

 

一緒に協力して作りませんか

  

10私の希望と尊厳のある暮らしとは】

  

・衣食住が足りていること。

 

・過度に将来の不安がないこと。

 

・自分の望みがかなえられずとも、話をきいてもらえること。

 

・寂しい時、不安な時、話す相手がいること。

 

・買い物に自由に行くことができること。

 

・役割があること。

 

・生活にハリがあること。

 

・臨床美術で絵を描き豊かな時間をすごすこと。

 

・外食したり、映画を見たり、美術館に行ける自由があること。

 

・好きな時間に、散歩できる自由があること。

 

・同じ境遇の認知症仲間と話し合える場所があること。

 

・無視されず、自分の話がきいてもらえること。

 

・たまには、旅行ができること。

 

・パソコン、iPadなどの便利な機器のサポートが受けられること。

 

・外出の自由があること。

 

・テレビ出演など、やりたいことが出来ること。

 

・希望を持って、前向きに生きること。

 

・いろいろなイベント、会合にでかける時、付き添いなどのサポートが受けられること。

 

・好きな時に、好きなことができる自由があること。

 

・なにができなくとも、尊い存在だと扱われること。

 

・たまには好きなものを、食べられること。

 

・興味のある本を、自由に買えて読むことができること。

 

・適切な医療がうけられること。

 

・適切な介護サービスがうけられること。

 

・何かをする気力と体力が残っていることを、どんな試練(苦難)があっても、人生を

 

楽しむことを考えられること。

 

・どんな人生であれ、私たちには、生きる尊厳があるということ。

  

 

あなたもご自分の〈希望と尊厳のある暮らし〉を考えませんか。

  

 

11希望のメッセージ】

  

メッセージ

  

 

1  認知症になると、すぐに、何もかもできなくなるわけではない。

 

2  認知症になっても、希望を持って生きることができる

 

3  認知症になっても、適切な支援があれば、人生を楽しむことができる。

 

4  できなくなることも増えるが、残された機能もたくさんある。

 

5  失った機能を嘆くのではなく、残された機能に感謝して生きる

 

6  この試練は、永遠に続くわけでない。

 

7  認知症になっても、不便であるが不幸でない。

 

8  だれもなりたくて、認知症になったわけでないので、不条理だがうけいれる。

 

9  仕事も、職場の理解を得て、できるだけ続ける。

 

10 好きなことをして生活に張りを持って、生活する。

 

11 不便なことを出し合い、皆で解決策を話し合い、自分の生活をよりよくしませんか。   

 

12 認知症になっても、しっかり、準備をすれば、外出も楽しむことができる。

 

13 役割をさがし、自分の役割がみつからないときは、人に探してもらい、充実した人生をおくる。

 

14 認知症になっても、愛することもでき、元気に暮らすことができる。

  

 

【12.認知症基本法を考える】

  

基本的な考え。

 

認知症への差別、偏見をなくす法律にしたい。

 

患者として考えるのではなく、人としてとらえる。

 

基本法の目的を、認知症の予防、対策ではなく、認知症の当事者もそうでない人も、同じ基本的人権を有し、すべての国民が、認知機能の低下あるなしに関係なく、基本的人権を享受して、認知症になっても希望と尊厳をもって生活する権利を有し、認知機能の低下に関係なく分け隔てなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会を実現するために、認知症当事者の自立および社会参加の支援のための施策に関し、国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、認知症当事者の社会参加の支援等の施策を明らかにする。

 

 

 

認知症当事者と認知症を医学的モデルとあるのではなく、社会的モデルととらえる。

 

 

 

認知機能の障害を持つ社会参加のがわにあるとの原因を、個人の認知機能の障害ではなく社会の環境がわにある、とういう考えである。

 

 

 

認知症当事者は、一人であろうとなかろうと、自由に自分の住居を選ぶことができることを原則とすることが大切である。

 

 

 

認知症当事者を福祉や医療などの施策の対象ではなく、権利を持つ主体として位置づけることが大切である。

 

 

 

認知症の症状があるなしに関係なく、認知症当事者は普通の人として受け入れられることが、大切である。

 

 

認知症状があろうとなかろうと、人として、平等で差別なく、基本的人権が守られなければならない。

 

以上